これらの泉に流れ込んでいる水は、30キロ離れた富士山の斜面に雪や雨が降り注ぎ、湧き出たものです。水は、火山灰や小石の層をフィルターにして、大昔の噴火でできた頑強な火山岩の層にたどり着き、最終的にここで再び湧き出るまで、約60年かかります。この過程が極めて純粋な水を作り、日本の名水の1つに指定されています。<平成の名水百選>
都留の農民は、この泉を農業に利用しています。例えば、泉のほとりにあるワサビ農園では、この絶え間ない流れを利用して、毎年3トンの収穫を上げています。また、真冬に収穫されるカラシ菜の1種である、水掛菜という特産物の栽培にもこの水が利用されています。これらの野菜が冬でも栽培が可能なのは、湧き水をかけ流し、1年で最も寒い時期でさえ常に12度を保って、凍らないためです。
泉が流れ込む河川沿いには、いたる所にバイカモ(梅花藻)という、梅の花に似たラナンキュラスの1種が生えています。この美しい植物は流れ続ける冷たい水を好むため、都留の十日市場や夏狩地域にあるような泉でのみ生育できます。
< この解説文は観光庁の地域観光資源の多言語解説整備支援事業で作成しました>
<平成の名水百選>
環境省が選定した「平成の名水百選」に、十日市場・夏狩地区の湧水群が選ばれました。
「平成の名水百選」は、環境問題が主要議題の一つとして開催された「北海道洞爺湖サミット」にちなみ、水環境保全の一層の推進を図ることを目的に、昭和60年に選定した「名水百選」に加え、新たな名水「平成の百選」を選定するものです。