この巨大な木製の屋台は、毎年9月に開催される八朔祭で使用される、都留の伝統的な曳山(屋台)の1台です。祭りの間、市民は屋台を手で引いて町中を練り歩き、みこしに乗った人々が音楽や踊りを披露します。市の各地区にそれぞれ屋台があり、最も美しい装飾や素晴らしい芸を競います。これらの屋台は、約2世紀前の高価な羅紗やビロードで作られた、見事な幕がひときわ目を引きます。浮世絵画家の葛飾北斎(1760~1849)のような、当時最も有名な芸術家による絵が特徴です。
この屋台は、早馬町が所有しています。作られた正確な時期は不明ですが、19世紀初頭にさかのぼります。1920年代後半まで使われていましたが、解体し、保存されました。半世紀後、早馬町の人々は、手で丁寧に再現し、1989年の八朔祭で再び使い始めました。屋台の後方に張られた後幕は、「牧童牛の背に笛を吹く」と題し、北斎の筆によるとされています。みこしが動いているときは、柳の枝の絵も動き、まるで葉に風が吹いているかのように見せながら、笛の音を運んでいきます。
< この解説文は観光庁の地域観光資源の多言語解説整備支援事業で作成しました>